世界貿易機関(WTO)
医療関連品の貿易に関するWTO報告書
令和2年4月8日
4月3日(現地時間),世界貿易機関(WTO)は,新型コロナウイルスを巡る状況を受け,医療関連品の貿易に関する報告書を発表したところ,その概要は以下のとおりです。なお,報告書全文はWTOのホームページでご確認頂けます。
- 医療関連品の輸出入の総額(EU内貿易も含む)は約2兆ドルであり,世界商品貿易の約5%を占める。
- 医療関連品の輸出の35%は,ドイツ,米国,スイスによる。
- 個人防護関連製品(ハンドソープ,マスク等)の輸出の40%は,中国,ドイツ,米国による。
- 新型コロナウイルスに関連して深刻な不足が生じている必要不可欠な製品(マスク,ハンドソープ,人工呼吸器等)の貿易額は総額5,970億ドルとなり,2019年の世界貿易の1.7%を占める。
- 医療関連品の最恵国関税率の世界平均(WTOメンバー)は4.8%。日本は平均0.4%で,世界7位の低率(日本より低率なのは,無税の香港,マカオ,シンガポール,アイスランドの他,ブルネイ,セイシェルのみ)。米国は0.9%,中国は4.5%,EUは対外共通関税の平均が1.5%。
- 一部の関連品に関する関税は依然として非常に高い。例えば,ハンドソープの平均適用税率は17%であり,一部のWTOメンバーは65%に達する関税を課している。
- 新型コロナウイルス関連で用いられる防護関連製品の関税は,平均11.5%であり,いくつかの国では27%に達する。
- WTOは,医療関連品の貿易自由化に関し,主に,(1)1995年のWTO発足時までの関税交渉,(2)ウルグアイラウンド及びその後のレビューを通じた,複数国間による医薬品協定,(3)2015年の情報技術協定(ITA)の拡大,を通じて貢献してきた。